31: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 23:01:55.18 ID:n8F8dLyB0
なんてことだ。
あんな強烈なアイドルを忘れていたなんて。
俺が思い出したのと同様に、他の皆も思い出したらしい。
32: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 23:02:41.62 ID:n8F8dLyB0
そして今、無事に菜々を見つけたプロデューサーは語る。
「それから皆で手分けして探してたんだ。芳乃に場所を聞いたら移動中みたいだったから、とりあえず菜々が行きそうな場所を手当たりしだいにな」
「そんな……」
33: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 23:03:33.06 ID:n8F8dLyB0
「それで、どうだ?」
プロデューサーが真面目な顔になる。
「どうだ、って?」
34: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 23:04:30.60 ID:n8F8dLyB0
「でも、皆がナナのことを思い出してくれて本当に嬉しいです」
大切な人達が自分のことを覚えていてくれる。
それだけで、そんな奇跡だけで、菜々はこれまでの時間が報われる思いだった。
35: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 23:06:01.31 ID:n8F8dLyB0
程なくして、店の外から声が聞こえてくる。
しかし入ってきた人達を見て、菜々は「えっ?」と声が漏れた。
「菜々チャン!やっと見つけたにゃ!」
36: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 23:06:51.06 ID:n8F8dLyB0
「俺達だけじゃ探せるか不安だったからな。ファンの皆にも探してもらうことにしたんだ。こうして『ウサミン』のことを伝えればファンも菜々のこと思い出すんじゃないかと思ったんだが、上手くいったみたいだな」
悪戯が成功した子供みたいに笑うプロデューサーに、菜々は驚くことしかできない。
「あ、ありえないですよ……!」
37: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 23:08:04.42 ID:n8F8dLyB0
でも彼らは違う。
ファンの皆が安部菜々とした会話なんて握手会の数秒程度で、あちらは菜々のことを知っていても菜々は彼らの名前すら知らないのだ。
親密な関係とは、とても言えない。
38: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 23:08:42.19 ID:n8F8dLyB0
プロデューサーの言葉が、菜々には信じられなかった。
しかし目の前で菜々の名前を呼ぶ人達の存在が、それを真実だと告げている。
「……プロデューサーさん。アイドルってすごいんですね」
39: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 23:09:24.32 ID:n8F8dLyB0
『ウサミン星より通信』
『昨日送られたレポートを確認』
『ウサミン式記録消去装置が通用しない星が存在したことを議会は重く受け止めている』
40: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 23:09:53.36 ID:n8F8dLyB0
夢を見た。
一人の少女の夢だ。
夢は今も続いている。
41: ◆8ozqV8dCI2[sage]
2017/09/18(月) 23:10:38.95 ID:n8F8dLyB0
おしまい!
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