13: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 22:47:40.46 ID:n8F8dLyB0
だってそれは、みくも曲を貰った時から。
「みくちゃんだって、本当は同じこと思ってるんじゃないの?」
「……っ!」
14: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 22:48:36.79 ID:n8F8dLyB0
依田芳乃は本日何人目かになる相談を受けていた。
「そっか。ごめんなよしのん。変なこと聞いて」
「よいのでしてー。力になれず申し訳なくー」
15: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 22:49:28.26 ID:n8F8dLyB0
悩む芳乃にまた新しい来客がやってきた。
「芳乃、いるか?」
来たのはプロデューサー、そして彼もまた他の皆と同じような表情をしている。
16: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 22:50:21.77 ID:n8F8dLyB0
何かが足りない。
その日目覚めた時から、誰かがそう感じていた。
もしかしたら地球にいる皆が。
17: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 22:51:42.15 ID:n8F8dLyB0
『記憶・記録消去処理は完全に遂行されました。貴女がこの星にいた痕跡は無事に消去されました』
『お疲れ様でした。迎えの船が到着するまでお待ちください』
その日の早朝、安部菜々は自宅のアパートでウサミン式記録消去装置がその役目を正しく遂行したことを確認していた。
18: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 22:52:41.77 ID:n8F8dLyB0
キラキラのステージ、オシャレな衣装、響く歌声、鳴り止まぬ歓声。
すべてのウサミン星人が知らない、感情の力がそこには溢れていた。
初めて見たアイドルの衝撃はすさまじく、菜々はどうにかあの場に溢れていた力をウサミン星の目的に利用できないかと考える日々を過ごし、考えるうちにウサミン星とは関係なしにただアイドルになりたいと願うようになっていた。
19: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 22:53:29.45 ID:n8F8dLyB0
ウサミン式記録消去装置。
星の調査に向かうウサミン星人に配備される、ウサミン星の技術力の結晶である。
調査前にこの装置を起動させておき、調査終了時にボタンを押せば、その星から対象のウサミン星人がいたという記録がすべて消去される。
20: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 22:54:18.21 ID:n8F8dLyB0
全力で挑んだライブの映像も、涙をこらえてレコーディングしたCDも、今ではもう地球には存在しない。
共に歩んだ仲間達、応援してくれたファン、スカウトしてくれた彼の中にも私はもう存在しない。
菜々の手で消してしまった。
21: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 22:54:46.52 ID:n8F8dLyB0
まずは自宅。
部屋を出て、今まで拠点としていたアパートを眺める。
入居当初は知らなかったけれど、どうやらこのアパートは地球人基準からしても古くてボロい場所だったらしい。
22: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 22:55:20.73 ID:n8F8dLyB0
次は事務所。
といっても、遠くから眺めるだけ。
本当はもう少しそばに行きたかったけど、誰かの顔を見たらきっとその場で菜々は泣いてしまう。
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