17: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 22:51:42.15 ID:n8F8dLyB0
『記憶・記録消去処理は完全に遂行されました。貴女がこの星にいた痕跡は無事に消去されました』
『お疲れ様でした。迎えの船が到着するまでお待ちください』
その日の早朝、安部菜々は自宅のアパートでウサミン式記録消去装置がその役目を正しく遂行したことを確認していた。
「消えちゃった……」
ウサミン星から辺境の惑星『地球』の調査に来ていた安部菜々が、数年ぶりにウサミン星から指令を受けたのはつい先日のこと。
『調査レポートを評価した結果、地球は技術的・資源的にもウサミン星の脅威となる可能性および利用価値は無しと議会は判断。よって調査任務を終了し、帰還されたし』
「こうなることはわかってたんですけどね」
地球と呼ばれるこの星がウサミン星にとって何の価値もないことは、菜々も初めて地球にきた時からわかっていた。
ウサミン星が他の星に求める物、それはすなわち宇宙戦争に役立つ技術と資源。
いまだ星の重力すら任意に操作する能力もない地球人なんて、ウサミン星からすれば塵芥のようなものだ。
資源的にも乏しく、ウサミン星の価値観からするとハズレもハズレ、大ハズレな星だ。
実際、菜々も初めはこんな未開な星への調査に行かされている現状に不満を抱き、はやくこんな任務終わらせようと淡々と仕事をこなしていた。
調査中、あるアイドルのライブを見るまでは。
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