4: ◆TDuorh6/aM[saga]
2017/09/18(月) 20:02:47.61 ID:6BNrNmyXO
「はぁ……こんなに好きなのに」
どうしても、伝えられない。
どうしても、言葉に出来ない。
一層の事、プロデューサーさんから私に告白してくれれば……ううん、それはダメだよね。
でも、だとしたら私から伝えるしかない、なのに……
……恋を叶えてくれる魔法があればいいのにな。
商店街を歩く頃には、既に太陽は殆ど沈んでいました。
冷たい風が、私の頭を冷ましてくれます。
早く帰らないと、少し走ろうかな。
なんて、閉まり始める商店街のシャッターにさよならをしようとしたところで。
紫色のプリムラが、目に入りました。
閉店作業をしているお花屋さんの店頭に置かれた、青春の恋の花。
私がアイドルとして歌った、青春の始まりと悲しみの花。
それがあまりにも綺麗で、私はプランターに駆け寄りました。
寒い風の吹く冬の夜に見たそれは、私に見つけられる為に咲いているみたいで。
私の恋も、この花みたいに咲いてくれればいいのに。
そう願いながら、せっかく出会ったんだしと店員さんに話しかけました。
閉店作業をしていて迷惑かな?とも思ったんですが、それでもどうしても手に入れたかったですから。
少し軽くなったお財布を鞄にしまい直し、改めて帰路に着きます。
今度は、この恋の花と一緒に。
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