104: ◆Vcl4B/DaxY[saga]
2017/09/24(日) 13:34:40.67 ID:prdGZkfz0
考えても答えは出ないので、私は天草さんの方を見る。
天草「……」
天草さんは花を見つめている。その瞳はどこか寂しげに見えた。
稲羽「……?」
天草「……ああ、少々昔を思い出しておりました」
天草「昔、私の傍には花がお好きな御方がおりました」
天草さんはぽつぽつと語り始める。
天草「かつて人に見放され、縋る事が出来ないようで御座いました。見かねた私共はその御方を保護しました」
天草「その御方は酷く苦しんでおられました。この現世に絶望し、本来受けられた幸福の総てを諦めきっているかのような」
天草「長い事傍におりましたが……私共は本当の意味であの御方を救う事が出来ておりません」
天草「此処の花々を見ていると思い出すので御座います。私共は死を迎えるまで……あの御方のような救うべき者を救い続けるでしょう」
天草さんは静かに目を閉じる。何かを悔いているようだった。
彼に悔いがあるとすれば、きっと人を救えない事なのだろうか。
「わたし、きっとその子と気があうねぇ」
163Res/158.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20