5:名無しNIPPER[saga sage]
2017/09/15(金) 18:50:07.68 ID:GkhDt2Oq0
「あ、そういえば百合子ちゃんアイドルやってるんだよね、そしたらやっぱり芸能系?」
「そうなんだ、初めて聞いた」
言ってなかったから。
なんて、そんな風に答えられるわけもないから、言ってなかったっけ、なんて、曖昧な言葉でお茶を濁す。一応、顧問の先生には伝えていたはずなんだけど、そもそも美術部を担当している先生は部活にそれほど熱意がなかったから、伝え忘れていたのかもしれない。
そうじゃなければ、面倒だから放っておいたのか。でも、どっちだっていい。結果は同じなのだから。
私の後悔というのは、この送別会という名前の井戸端会議に顔を出してしまったことだ。
指摘されたように私は、ただでさえ元から出席率が低かったのに加えて、今年の初め頃にアイドルの道を歩んでからは八割九分幽霊部員になってしまっていた。一応、作品の提出が求められるコンクールの時期だけは制作作業と進捗の確認のために顔を出していたけれど、それもきっと両手の指で数えて足りるほどだろう。
本来であれば、参加してもしなくても大して変わらないようなポジションが私の居場所で、それは事実として顔を出してみれば改めて、嫌というほど思い知らされた。
後輩の子にもきっと、悪意はないんだと思う。
悪意があればもっとひどい目に遭っているであろうことを、幸いと言うべきか私はすぐに想像できるし、一時期は危惧してもいたけれど、それは全くの杞憂に終わってくれた。むしろ、人見知りのする私に対して何かアプローチをかけることで輪に引き込んだりだとか、或いは部活の中でそういうポジションだといつの間にか決まっていた私をその通りに扱うことで、自分が美術部の一員であるということをアピールしたいのかもしれない。
でも、どっちにしたって嫌なものは嫌だし、もしも前者なら大きなお世話だ。
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