35: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:11:12.12 ID:dbtwVbjq0
ケーキを切り分けてる間に、さらなる来客があった。
三ツ谷とタイチ、そして、サーカスの支配人だった。
コータは光と握りこぶしを交わすと、胸を張って父の元へ向かった。
後は二人の時間である。
コータと分かれ、歓談のざわめきの中、一人になった光の元に、ススッと寄ってきた影がある。
タイチであった。
「どうした?」と光が声をかけると、タイチは頭をぐわんと下げては上げてを繰り返す。
「お礼でもしてるのかい?」
何回かぐわんぐわんとした後、タイチはその後ろに隠していたものを取り上げ、光に差し出した。
それは薄汚れた紙袋であった。
茶色い泥を払ってみると、シックな風合いの黒い紙質で、中央にファッションブランドのロゴがスタイリッシュに印字されている。
袋自体はボロボロであったが、中身はきれいなままだ。
取り出してみると、可愛らしいリボンでメッセージカードのようなものが括りつけられている。
そこには
『Dear Producer From S.M.』
と手書きされている。
光の体に電流が走った。
(そっか……感謝の証って、こうやって――)
しばらく立ち尽くしていると、後ろから「ケーキ、切れたわよー!」と麗奈の呼ぶ声がする。
光はその顔に満面の笑みを浮かべながら、麗奈たちの元へ戻る。
その手には、黒い紙袋をぶら下げながら。
「喜んでくれるかなぁ」
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