33: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:09:29.62 ID:dbtwVbjq0
全てが終わり、コータは再び控え室に迎えられた。
おばあちゃんは、用事があると言って、どこかに行ってしまった。
光も麗奈もヘトヘトといった様子で、衣装のまま椅子の上でへばっていた。
その様子を見て、思わず吹き出したコータに気づき、光も麗奈も恥ずかしそうに居ずまいを正す。
「どうだった、コータくん? アタシたちのステージ」
「うん……なんて言うか、うまく言えないんだけど」
光も麗奈も固唾を飲んで、その先を待つ。
「――すごく、ワクワクした。
俺も、こんなステージに立ちたいって思うぐらい、ワクワクしたよ!」
コータは満面の笑みを見せる。
光と麗奈は目を合わせて、「やったね」と互いの拳を交わした。
「光姉ちゃん、ありがとう。俺も――」
コータは続きを言葉にしようとするが、上手く言えない。
もどかしさが募る。
すると、光は
「うん! がんばって、いっておいで! アタシも応援してるからさ」
とコータの肩を叩いた。
コータは「がんばる!」とだけ答えて、探した言葉を口に出すことはやめた。
探した言葉は、お父さんに言えばいい、そう思ったからだ。
ドアのノックの音がした。
「どうぞー」と言うと、プロデューサーが入ってくる。
「光、麗奈、ちょっといいですか? 衣装のままでもいいので、舞台裏まで来てもらえます?」
そう告げると、そそくさと行ってしまう。
「何だろう?」光はきょとんとした。
「う〜ん……この仕事が終わった後だと思ってたけど」
麗奈は首をかしげる。
コータも不思議そうな顔だ。
ともかくも、三人は舞台裏に向かった。
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