輿水幸子「ボクのなつやすみ」
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18:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:44:09.06 ID:4sMggCAno
……三〇分ほど探し回り、結局ペロは祖母の膝の上で丸まっていた所を発見された。
おみやさんの外まで探し回っていた二人が休憩がてら神社まで戻ってみると、そこで祖母とペロが仲良く昼寝していたのである。
灯台下暗し。
これにはさすがに幸子も徒労感にがっくりした。


ペロは今度は逃げたりせず、おとなしく雪美に抱きかかえられたが、なぜか幸子には一向に懐こうとしなかった。

「ペロ〜、こっちにおいで〜……もうっ、なんでボクの所にだけ来てくれないんですか」

「ねこじゃらしとか……使うといいかも……」

幸子が雪美にアドバイスしてもらいながらペロと交流を深めていくのを祖母は満足そうに眺めていた。
ちなみに祖母はすでにペロをすっかり手なずけており、「お手」と言うと見事に猫パンチめいたお手が繰り出される。
このように、ペロは他の猫とは違い一風変わったコミュニケーションが求められるので、幸子のような正攻法はなかなか上手くいかない。


それから悪戦苦闘の末、ようやくコツを掴んでペロとじゃれあえるようになった頃、幸子はふと思いついてスマートフォンを取り出し、おもむろに雪美に手渡すと、

「すみません、それで一枚写真撮ってくれませんか?」

とカメラマンを頼んだ。
ところが雪美は自分が何を手渡されたのが理解できず、その場で固まってしまったので、幸子は一旦ペロを放してイチから説明するはめになった。

「えーっと、これがカメラアプリで、それで画面のここをタッチすると写真が撮れるんです」

「…………???」パシャッ

「あ、それだとインカメラになっちゃってますよ」

幸子がスラスラと画像フォルダを開いてみせると、雪美が驚きに目を丸くして呟いた。

「これ……私と……幸子?」

「もしかして雪美さん、こういうの初めてですか?」

「…………」こくり

いくら幼い子供とはいえ携帯のカメラすら知らないというのは幸子のような都会生まれ都会育ちにはにわかに信じがたい話であった。

ただし、ここでまたひとつ説明を付け加えておくと、今回のこれは雪美が特殊なだけである。
当然ながら田舎の子供すべてが現代の文明機器について無知なわけではない、という事をここに断っておく。


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