輿水幸子「ボクのなつやすみ」
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15:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:41:33.42 ID:4sMggCAno
「雪美ちゃんひとりかい?」と祖母がやさしく尋ねた。

「うん……」

「なにか面白いことでもあったかいね?」

「……ペロと遊んでた……」

「ペロ?」

と幸子が聞き返した瞬間、雪美の足元をサッと黒い影が走った。
驚いて目で追うも影はあっという間に木立の向こうへ去って行き、幸子はその姿が見えなくなってから正体に気が付いた。

「黒猫?」

「……ペロ……人見知りだから……逃げる……」

聞くと、どうやら飼い猫らしかった。

「追わなくていいんですか?」

「そのうち……戻って来るから……たぶん」

そう言う雪美の言葉や表情は頼もしいようであり、また不安そうでもあった。
抑揚のない躓くようなしゃべり方からは彼女の本心がいまいち読めない。

一方、祖母は妙に嬉しそうに

「ちょうどよかったねぇ、さっちゃん。雪美ちゃんと二人で遊びなや」

と言って拝殿の石段に腰掛け、一人で休憩してしまうのだった。


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