16:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:42:20.85 ID:4sMggCAno
幸子はせっかくなのでペロを探すのを手伝うことにした。
と言っても申し出たのは幸子の方からで、べつに雪美が頼んだわけではない。
単なる幸子のおせっかいである。
「道路に飛び出て車に轢かれたりしたらタイヘンですからね」
「ここ……ほとんど車通らない……」
幸子は気にせず「ペロ〜!」と林の中へ名前を呼んでみる。
当然のように反応はない。
それから幸子は灯篭や石垣の裏、拝殿の床下なども見てまわったがペロの姿はどこにも見当たらなかった。
そうして幸子がおみやさんの周りをぐるぐる歩いてはペロの名前を呼んでいる一方、雪美はその後ろをひたすら無言でついてまわるだけであった。
「あの、雪美さん?」
「…………」
振り向くと、雪美はキョトンと首をかしげて幸子を見つめるばかりである。
その仕草があまりに無邪気だったので幸子は自分が何を言おうとしていたか一瞬忘れたほどだった。
「なんでボクだけ頑張ってるんですか。雪美さんも協力してくださいよ」
「…………わかった……」
雪美はそう短く返事をすると、「ペロ〜……」と蚊の鳴くような声を出した。
幸子は、これはとてもすぐには見つかりそうにないと肩を落とした。
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