輿水幸子「ボクのなつやすみ」
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10:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:36:48.40 ID:4sMggCAno
ラジオ体操が終わる頃にはすでに額に汗が滲んでいた。

幸子は一息つきながら、空き地から人がまばらに去っていくのをどこか釈然としない気持ちで眺めていた。
釈然としない気持ちというのはつまり、「どうしてみんなアイドルの輿水幸子に気が付かないのか」という疑問である。

(カワイイボクがこんなにカワイく体操してたのに!)

そんな風に口を尖らせていると、ふいに遠くで例の少女と目が合った。
すると少女は何を思ったか、幸子の方へペタペタと歩み寄ってくる。

(やっとボクのカワイイ存在に気付いてくれたんですね!)

幸子がふふんと鼻を鳴らしながら待ち構えていると、少女は幸子の前に立ち止まるや否やおもむろの幸子の頭を指差し、

「寝癖……」

と言い放った。

「寝っ!? こ、これは寝癖じゃなくてヘアースタイルですっ」

しかし少女は首をかしげたまま、それきり黙って両親の元へ帰って行ってしまった。
幸子は初対面の少女の不躾な態度に怒るよりもむしろ唖然として言葉が出なかった。

後ろから一部始終を見ていた祖母が言った。

「ありゃあ佐城さんとこの雪美ちゃんかね。変わっとるけどええ子なんよ」


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