63: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:39:11.79 ID:UExX3PfR0
「でも、大人なら大なり小なり空虚を抱えてる。それを感じさせず、エネルギッシュに生きていける人こそが『選ばれた人』で、成功する人間なんだろう」
だから、自分はおかしくない。
自分のように、「己」が薄い人間は世の中にたくさんいる。
64: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:41:35.55 ID:UExX3PfR0
「だからさ」
俺は、悲しむような、笑ったような顔をしてみせた。
65: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:44:11.33 ID:UExX3PfR0
「奏……」
奏の表情は怒ってるような、悲しんでるような、そして空虚なような。
66: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:46:37.58 ID:UExX3PfR0
今度は今にも泣き出しそうな顔。
今まで奏の泣き顔なんて見たことがないからわからないが。
67: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:49:39.91 ID:UExX3PfR0
「おい、奏……」
情けない狼狽えた声が出る。
しかし、この狼狽が本心か表面だけのものかは、もう俺にもわからなかった。
68: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:52:19.38 ID:UExX3PfR0
数秒その状態が続き、顔を離したのは俺の方からだった。
69: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:54:24.76 ID:UExX3PfR0
何か言葉を掛けなければならないと思うが、言葉が出てこない。
それはしばらく心を働かせてなかった故なのか。
70: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:56:26.96 ID:UExX3PfR0
その後、奏はこの話題を出す事は二度と無かった。
71: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:59:30.99 ID:UExX3PfR0
何かが変わりそうで、何も変わらなかったあの夜。
72: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 03:00:34.73 ID:UExX3PfR0
以上で終わりです。
読んで下さった方有難うございました。
73:名無しNIPPER[sage]
2017/09/09(土) 06:30:40.54 ID:8uzkg3GNO
幸せにはなれんかったんやな
おつ
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