54: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:17:16.86 ID:UExX3PfR0
「散らかってるのは衣類や食べ物のゴミだけ。それを片付けると、本当に何も無い。本当に人が生活してたのかどうか不安になるくらい。まるで囚人の部屋のような。テレビのリモコンなんて、電池が切れてた。休みの日はDVD観てるって言ってたのに」
「……」
55: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:21:38.59 ID:UExX3PfR0
「貴方は優しいけど、その優しさは何に対しても関心が無いからこそのもの。だから誰に対しても寛容になれるし、誰に何を言われても何も感じない。だって心の中ではどうでもいいって思ってるから」
「おい、奏……」
56: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:23:20.11 ID:UExX3PfR0
「なに……」
馬鹿にするな、と言いかけて、止まる。
無いかもしれない。
57: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:25:46.09 ID:UExX3PfR0
いや、自分という意識はある。
そしてその自分の意識の中には当然奏たちの存在はある。
58: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:28:02.23 ID:UExX3PfR0
感情が無いわけではない。
喜びもあるし、怒りも悲しみもある。
59: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:30:03.16 ID:UExX3PfR0
休みの日は嬉しい。
だが何をするでもない。
友人はいる。
だが親友はいない。
60: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:32:21.64 ID:UExX3PfR0
別に病んでいる訳ではない。
死にたい訳ではない。
ただ、どうでもいいだけだ。
61: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:34:13.47 ID:UExX3PfR0
そうなのかもしれない。
いや、事実そうなのだろう。
現に今指摘を受けた事柄に対して、特に感想はない。
62: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:36:58.99 ID:UExX3PfR0
「だけどさ、大人は皆そうなんだよ」
いや、皆は言い過ぎたかな、と付け加える。
63: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:39:11.79 ID:UExX3PfR0
「でも、大人なら大なり小なり空虚を抱えてる。それを感じさせず、エネルギッシュに生きていける人こそが『選ばれた人』で、成功する人間なんだろう」
だから、自分はおかしくない。
自分のように、「己」が薄い人間は世の中にたくさんいる。
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