7: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 00:12:43.08 ID:xMQ2bOga0
「何で……あんな夢なんか見たんでしょう……」
朝食を食べながら、まゆは今朝の夢を思い返していた。
と言っても、起きてから時間が経っていく内に自然と夢の内容は抜け落ちていってしまい、
細部や他に誰がいたのかさえ覚えていない有り様なのだが。
8: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 00:23:17.32 ID:xMQ2bOga0
事務所に着いて、まゆが真っ先に向かったのは事務室にあるプロデューサーのデスクの下。
「おはようございます、乃々ちゃん、輝子ちゃん」
そこでまゆとシェアハウスしている共有者の二人は各々時計を見ながらぼーっとしていたりキノコを愛でたりしていたが、
9: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 00:36:32.55 ID:xMQ2bOga0
同じ場所で過ごすと言っても、基本的に彼女たちはあまり言葉を交わさない。
同じ机の下に居ながら、違うものを見て、違うことを考えて、違うことをやっている。
そんな不思議な関係が、彼女達「アンダーザデスク」であった。
そんなこんなで、少し時間が経った頃。
10: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 00:39:16.68 ID:xMQ2bOga0
「あんまり大人数になっちゃうと、まゆさんも疲れちゃうかもしれないから……
そんなに豪勢にしないで……でも、明るく。
紗枝さんとか、小梅ちゃんとか……その辺に声をかけて、みたりする予定……だ。
あ、勿論……先約があったらそっちを優先してほしい、かな」
11: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 00:48:03.52 ID:xMQ2bOga0
入るなりプロデューサーは肩に提げていた鞄をデスクの上に置いて、
中の書類物を引き出しや机上ラックへと収納し整理整頓を終わらせる。
一通り終えたあと腰を落ち着けると、アイドル達へ向き直った。
「あっ……!プロデューサーさん」
12: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 00:54:51.61 ID:xMQ2bOga0
「ええ、そんな……プロデューサーさん無しだと……もりくぼの責任も重大……」
早くもプレッシャーで胃を痛めそうになる森久保。
勿論、今まで一人一人の誕生日を大切にしてきたプロデューサーのことである。
努力に努力を重ねた末のどうしようもない結末であり、
13: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 01:07:42.95 ID:xMQ2bOga0
事務所から、数十分といったところか。
夜の都会の街並みを抜け、少し田舎然とした場所で車は停止した。
「よし、着いたぞ」
14: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 01:16:54.87 ID:xMQ2bOga0
星々の灯り以外に頼るものなどない暗夜、
二人は足元に意識を集中させ、苔むした階段を一段一段と丁寧に登っていく。
石段を登りきると、今度は舗装されていない真っ黒な坂を上っていく。
その中途で土に濡れた三毛猫が忙しそうに通り過ぎて行き、虫は静かに合唱していた。
15: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 01:23:14.75 ID:xMQ2bOga0
undefined
16: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 01:33:13.57 ID:xMQ2bOga0
「……月が綺麗ですね、プロデューサーさん」
「…………ああ、そうだな」
小さな世界から、大きな月を見上げた。
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