まゆ「Dear my moon」
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16: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 01:33:13.57 ID:xMQ2bOga0
「……月が綺麗ですね、プロデューサーさん」

「…………ああ、そうだな」

小さな世界から、大きな月を見上げた。
吸血鬼のような妖しい赤は、もっと紅になっていく。
まゆの赤を混ぜて、朱を混ぜて、紅を混ぜて、二人に相応しい深紅(アカ)になっていく。

──ああ、けど……綺麗だ。こんなにも美しくて、素敵だったのだ。
以前の少女には、ただ取るに足りない世界だけが瞳の中に描かれていた。
生きることは義務で、頑張ることは作業で、幸せとは他人の受け売りでしかなかった。
どんなにもがいてもキャンバスは灰色のままで、
鉛天は晴れることなく、未来は真っ白でしかなかった。
……それに、色をくれた人がいた。最初はその人だけが唯一の希望に思えて。色んな物をもらって。
次第に、もっと広い視野で見渡すことが出来るようにもなった。
そうして目に映った世界は、案外悪くなくて。
自分でもびっくりするくらい、生きていることに喜びを覚えて、
意味を知って、幸せだと実感している。


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