17: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 01:37:51.80 ID:xMQ2bOga0
多幸感で胸がつっかえそうになる中、まゆは深い息と共にその言葉を吐き出した。
「奏さんが言ってました。アイドルとプロデューサーは、まるで月と太陽のようだ、って。
太陽が居てくれるからこそ、月は輝ける。アイドルもそうだと。
明るい光で照らしてくれたから、私達は真っ暗闇から輝きを放つことが出来たんだって」
でも、とまゆが前置きして。
「それは単なるアイドルとプロデューサーの場合であって、私達のことじゃない。
まゆとプロデューサーさんの関係は……ただそれだけでは居たくないって、そう強く思います」
まゆが振り返る。真紅色の光を背にたっぷりと浴びて、
彼女の髪が、表情が、姿そのものが、一際艶っぽく月夜に映し出される。
アイドルとしてステージに立っている時のように、それ以上に…………今、まゆは輝いていた。
「まゆはプロデューサーさんを照らす、太陽にもなりたいから……。
アイドルと違って、プロデューサーはファンたちの前で輝きを放つ必要はないけれど。
まゆだけに、とびっきりの笑顔を見せてほしいから。
だから、まゆは月だけじゃ居られません。
愛しい月(あなた)を優しく照らせる、太陽(わたし)でもあり続けたいと思うんです」
「─────」
その笑顔が。他の誰でもない、自分に向けられたまゆの笑顔が。
どんな言葉でも言い尽くせないくらいあまりにも眩しかったから。
プロデューサーは、危うく主旨を忘れかけるところであった。
一体なぜ、このような辺鄙な所にまでまゆを連れてきたのか。
何を話すために、"ソレ"を用意したのか。
彼女の好意に最大限応えるべく、思い出して行動に移す。
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