33: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:31:34.03 ID:qeoTwk+V0
猿はすくみ上った。
その一瞬の隙を逃すまいと、まゆの後ろから、猿の背後から、怒涛の勢いで部隊が猿へと駆け寄っていく。
まゆは、刺又や網が入り乱れる、そのただ中で、プレゼントに向けて走った。
それしか見えていなかった。
だが、足が思うように動かない。
限界だった。
猿は部隊によって取り押さえられ、その手に持っていた黒い紙袋は宙に放り出された。
その軌跡を追って、まゆはやっとのことで足を動かし、高架の欄干に身体を預ける。
その紙袋が高架の下に落ちていく様は、ひどくゆっくりとして見えた。
まゆが伸ばした手も空しく、紙袋は高架下を通る軽トラックの荷台の上にふわりと着地した。
暗がりの中、かろうじて読めた「つくば」ナンバーの軽トラックは、そのまま高架下を通る道路のはるか先へと消えていった。
「あぁ……プレゼントが……」
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