30: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:28:25.91 ID:qeoTwk+V0
いつの間にかやり取りを後ろで聞いていた支配人が、すぐに電話をかける。
どうやら部隊に指示を出しているようだ。
(それにしても気になるな……)
その追っていった女性のことである。
猿とはいえ、結構な猛獣であるはずだ。
それに対して、ものともせずに追跡できるとは、なんと勇敢な女性なのだろう。
きっとこの支配人が率いる傭兵部隊にいるような、屈強な猛者に違いないだろう。
「では、私たちは周辺の探索をしつつ、高架橋に向かうが、キミはどうするかね?」
支配人がプロデューサーに尋ねた。
プロデューサーは鞄の持ち手をいっそう強く握りしめて答えた。
「最後まで見届けますよ」
なんとなくではあったが、気になったのだ。
その女性が。
おそらくは屈強な、猿より大きい類人猿タイプであろう女性――ではなかった場合の可能性が。
か弱い女性が何らかの理由で追っていったのだとしたら……プロデューサーには関係のないことのはずなのに、どうしても気になってしまった。
すっかり暗くなってしまった空を見上げて、プロデューサーはつぶやく。
「この騒動に決着をつける手柄は、果たして誰のものかな……」
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