佐久間まゆ「めぐりめぐるは」
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29: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:27:46.10 ID:qeoTwk+V0

 ***

「あのバスです!」

 プロデューサーは、停留所に停まっているバスの天井を指さした。

「よし、じゃあ行ってみよう」

 サーカスの支配人は車を停留所に入れるよう指示を出した。
 どうやら他の捕獲隊もこの周辺で猿の痕跡を確認したらしい。

 プロデューサーは、智絵里と雪乃の仕事について調整が終わった後も、降りるタイミングを見つけられず、代わりに例の猿の影を、バスの天井上に見つけてしまったわけだ。

 一行が停留所に降りると、バス添乗員の詰め所が何やら騒がしい。
 もしやと思ったプロデューサーが声をかけてみる。

「どうかしましたか?」

「あ、お客様、実は猿が現れまして、ちょっとした騒ぎになっていたのです」
「先ほど警察にも電話しまして。申し訳ございません」
「して、どこまでのチケットをご購入ですか?」

 プロデューサーは予感が当たってしまったことにため息をつきながら、額に手をやった。

「どうかされましたか?」

「ああ、いえ。すみませんが、チケットではなく、その……猿の方に用事なのです。どちらに行きました?」

「はぁ……あそこの高架橋がある交差点の方向に」
「そういえば、女の子が追いかけていきました。危ないと止めたんですけど、ものともしない様子で」

「そうでしたか、ありがとうございます」




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