25: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:25:09.44 ID:qeoTwk+V0
***
「あそこにいた! 時速五十キロぐらいで走ってます!」
タクシーの運転手に向かって身を乗り出さん勢いで、まゆは言った。
「あぁ、お客さん、おとなしく座ってて。シートベルトの意味なくなっちゃうよ」
「あ、ごめんなさい……」
少し頭を冷やしながらも、まゆの視線は前方を走るバスから一瞬たりとも離れない。
「なんだって、あのバスを追っているんですか?」
不安な様子で尋ねる運転手に向かって、まゆは言った。
「愛、ゆえです」
「?」
不安にいぶかしさを加えた表情となった運転手はそのまま黙って、バスとの距離を詰めた。
次にバスが停まったのは、大きな停留所だった。
どうやらしばらくバスは動かないらしい。
まゆはタクシーの清算をすまし、急いでバスの元へ向かった。
なかったら?
道中で誰かに持っていかれていたら?
考えればキリのない不安を払うように、まゆは顔を振った。
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