佐久間まゆ「めぐりめぐるは」
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16: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:16:59.99 ID:qeoTwk+V0

「も、もしもし」今度は智絵里の声だ。

「大丈夫か、智絵里!?」

「は、はい……。ケガとかはしてません。でも……」

「でも?」

「……お、おしりを触られました」

 猿、許すまじ。

「あの子、素早くてすごく賢いみたいで、女性スタッフさんたちを追いかけまわしてるんです」
「――今は雪乃さんが」

「わかった。まずはみんなで安全なところに逃げるんだ。落ち着いてね。僕もすぐに行く」

 プロデューサーは努めて柔らかく言った。

 まゆの誕生日が気にならなかったと言ったら、それは嘘になる。
 むしろ、真っ先に腕時計を確認した。
 しかし、不貞の猿を許しておくことは、できない。

 おそらく、時間通りにはいかなくなるだろう。
 道中、メールをひとつ、送っておこう。
 まゆなら許してくれる。

「さて……ここはひとつ、ちゃっちゃと片づけて、一刻も早く帰ろう!」




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