17: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:19:34.61 ID:qeoTwk+V0
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「そう簡単には帰しませんよぉ!」
なんだか楽しくなっていた。
人にはぶつからないよう細心の注意を払いながら、普段は考えられないほどの速力で自転車をこいでいると、非現実的な感覚になっていくものだ。
(おばあちゃん、ごめんなさい。悪くないってわかってるけど)
(アクション映画の主人公になったつもりにでもならなきゃ、この速さ……保てないんですっ)
どちらかというと悪役のセリフだが、あまりアクション映画は観ないまゆを責めないであげてほしい。
実際、足は疲労の極致であった。
「見えたっ!」
必死で自転車をこぐまゆは、その視界にバスを捉えた。
おばあちゃんが下車予定のバス停がちょうどそろそろだ。
そこでおばあちゃんを掴まえれば、それで済む。
息を切らせながらもう少しの辛抱と、足を動かし続ける。
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