11: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:13:03.42 ID:qeoTwk+V0
「あ、ここ、ここ! おばあちゃん、ここでチケットを買うんだよ」
光は券売機の前で立ち止まった。光はキャリーケースと一緒に列の外で待ち、おばあちゃんを前に、その後ろにまゆが並ぶ。
電車の券売機ほどではないにせよ、やはり人が多い。
黙々と列が進む中、おばあちゃんが財布を取りだした時だった。
列の横を歩いて出ていく、恰幅の良いおばちゃんが、おばあちゃんの財布にぶつかってしまった。
手にしていた小さな袋と一緒に財布が落ちる。
その拍子に財布の中身も少しばかり散らばってしまった。
「あらあら。大丈夫ですか、おばあちゃん」
まゆはプレゼントをわきに、両手で財布の中身を拾い集める。
おばあちゃんも「しまった、しまった」と手を伸ばし、おばちゃんも「あぁ、ごめんなさいね」と苦しそうに屈んで手伝った。
光はキャリーのためにその場を離れられず、心配そうに様子を見ている。
財布の中身を拾い集めた後に、二人はやっとチケットを買った。
光が「大丈夫、おばあちゃん」と声をかけると、「なんともないよ。ありがとねぇ」とおばあちゃんはほほ笑んだ。
44Res/38.63 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20