81:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 17:51:40.56 ID:+EtVRVLso
〜
*
撫子「なるほどね……そういうことなんだ」とんとん
向日葵「ええ……」
撫子「まあなんとなくわかってたよ。帰りの新幹線で泣いてた時からね」
お菓子の材料を持って楓と一緒に大室家へ行くと、もう櫻子と花子ちゃんは出発した後だった。
さっそく撫子さんと一緒にキッチンで準備にとりかかる。楓はせっせと飾りつけを頑張ってくれているようだった。
撫子「……で、ひま子は行きたいの? その櫻子とお友達が会うところに」
向日葵「……まだ、迷ってて」
撫子「そう……でも迷うっていっても、完全にひま子の気持ち次第だよね。櫻子とその子はひま子が見てようがどうだろうが、話をつけちゃうんだから」
花子ちゃん指定したタイムリミットは夕方。それまでに答えを出さなければいけなかった。
撫子「……怖いの?」
向日葵「…………」
撫子「私の考え言っていい? ……絶対に行くべき」
向日葵「ど、どうしてですの?」
撫子「百聞は一見にしかず。このまま櫻子が無事に帰ってきたって、決定的なシーンを見ないことには、いずれ心のどこかで『まだ元カノを引きずってたらどうしよう』っていう疑念が出てきちゃうもんだと思うよ」
向日葵「っ……」
淡々と述べられる撫子さんの正論。頭ではわかっているのに、まだ私の恐怖心は壊れてくれない。
撫子「……恋は盲目だね。まさかひま子の心がこんなに不安定になるなんて思わなかった」
向日葵「うぅぅ……」
撫子「でもありがたいよ。それだけ櫻子のことが好きだってことなんだもんね」ふっ
てきぱきと食材の下ごしらえをしながら、撫子さんは笑った。
手が止まってるよ、とたしなめられる。ちょっと考えを巡らせるだけですぐに作業が中断されてしまう。頭の中はしっちゃかめっちゃかだった。
撫子「わかるよ。わかる……好きな人の言葉って、何でも信じられるけどさ」
撫子「好きな人が言ってくれる『私も大好きだよ』だけは……心から信じてあげられないんだよね。他に誰かいるんじゃないかとか思っちゃって」
向日葵「はい……」
撫子「当事者は悩んでるかもしれないけど、周りからすればひま子が馬鹿らしく見えるよ。どう考えたって櫻子はひま子を選んでるのに、気づかないんだから」
向日葵「……最近、櫻子と会えてないんですわ。だから余計に……」
撫子「最近ったって、たった二日くらいでしょ……?」
向日葵「私たちにとって二日は大きいですわ……」
撫子「その発言がもう、矛盾しすぎだって……櫻子は元カノと半年近く会ってないんでしょ。っていうか元カノって呼んでるけど、そもそも付き合ってすらいないんでしょ、その子と」
向日葵「そうらしいですけど……でも、もしかしたらそれも嘘で、本当は二人は付き合ってたのかも……!」
撫子「……だめだこりゃ」はぁ
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