75:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 17:47:30.91 ID:+EtVRVLso
私はすっかり、櫻子との関係に対して受け身になってしまっている。
気持ちの問題だけじゃない、今だってそう。あの子が帰ってくるのを待つことしかできないんだから。
吉川先生に貰った助言を一生懸命思い返す。
昼間の助言を振り返りながら、何気なく吉川さんたちとのトーク画面をさかのぼっていると……あるものが目に飛び込んできた。
向日葵(あっ……)
それは、夏休みに入ってすぐに櫻子の家で撮った、花子ちゃんと櫻子と私の3ショット写真だった。
花子ちゃんが真ん中に写っている写真。
私たちの間に挟まれて、恥ずかしそうに遠慮しながら、顔を寄せる櫻子を横目で見ている。
向日葵(花子ちゃん……)
そうだ、忘れていた。
この問題には、花子ちゃんも大きく関わっているということを。
櫻子の隠していた秘密を暴いたのは、他でもない花子ちゃんだった。
それで大喧嘩して、仲直りしないままに櫻子は私と一緒にオープンキャンパスに来てしまって、花子ちゃんは家で一人で苦しんでいた。
ただの熱中症じゃないことはなんとなくわかっていた。花子ちゃんもこの問題に心を痛めていたのだ。
どうして花子ちゃんは、そうまでして櫻子のことを怒ったのか?
大学へと向かう、行きの電車の中で櫻子がふと呟いた意味深な言葉を思い出した。
『花子って……もしかして、向日葵のことが好きだったのかな……』
向日葵(……ばかですわね、櫻子……)
花子ちゃんは、もちろん誰に対しても優しくて、まがったことは許せない正しい子だ。
櫻子より五つも年下なのに、櫻子の妹なのに、櫻子を正しく叱ってあげることのできる女の子だ。
花子ちゃんがどうして櫻子に怒ったのか。その真意をあの時の櫻子はわかっていなかった。
私のことが好きだから、中途半端な態度で私と付き合っていたことに怒った……それもあるかもしれないけどそうじゃない。
向日葵(花子ちゃんは……他でもない、あなたのことが好きなんですわよ……櫻子)
写真の中の花子ちゃんを見ているだけで、それが私にはよーくわかった。
花子ちゃんは……櫻子のことが、大好きなんだ。
私はベッドに横たわりながら、花子ちゃんへ電話をかけてみた。急に花子ちゃんとお話がしたくてたまらなかった。
もしかしたら寝ているかもしれない……そう心配したが、少しだけコール音が鳴った後に、小さな声が電話口から届いた。
向日葵「あ……もしもし?」
花子『ひま姉……!』
向日葵「こんばんは。夜分遅くにごめんなさいね」
花子『ううん、平気だし』
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