70:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 17:42:38.46 ID:+EtVRVLso
〜
向日葵「あっ」
撫子「あ」
ケーキの材料を買おうと街の方へ行くと、偶然にも撫子さんと出くわした。
向日葵「撫子さん、こんなところにいたんですの」
撫子「うん、今いろいろ用事がおわったから。これから帰るとこなんだ」
向日葵「ちょうどよかった、これから花子ちゃんのバースデーケーキの材料を買いに行くところなんですけど、一緒に行きませんか?」
撫子「あ……その前にちょっとそこのカフェ寄ってかない? 何か飲みたいんだけど」
向日葵「あら。じゃあそうしますか」
撫子さんは珍しくぴしっとスーツを着ていた。私にとっては見慣れないものなので、ものすごく新鮮だ。それでも初々しさを感じさせずに着こなしているあたりが、さすが撫子さんといったところ。周囲の視線を引いている。
カウンターで飲み物を受け取って席に座る。このお店で撫子さんと二人きりでお茶を飲むのは、あの冬の日以来だ。
向日葵「こっちにはいつ頃までいられそうなんですの?」
撫子「長くないよ。花子の誕生日が終わったらすぐ帰らなきゃ」ずずっ
向日葵「あらら……忙しいんですのね」
撫子「ひま子……私今日、どこに行ってたと思う?」にやっ
向日葵「えっ?///」
珍しくいたずらっぽい笑みを浮かべる撫子さんにドキッとする。
スーツを着ているあたり、とても大事なところに行ってきたのだろうが……はっきりいって全然わからない。
向日葵「ど、どこでしょうか」
撫子「……教えてあげるけど、まだ櫻子たちには言わないでね。言うときはちゃんと自分から言いたいからさ」
向日葵「はい……?」
撫子「七森中だよ」
向日葵「……ええっ!?」
撫子「今年募集してるみたいなの、教員。受けようと思ってさ……いろいろ話聞いてきたの。卒業生はこういうときにすごく有利なんだ」
向日葵「な……七森中の先生になるんですの!?」
撫子「なかなかないんだけどね、新卒で私立は……でもまあ、運が良かったら入れるかもしれない」
向日葵「そ、そうだったんですのね……!」
撫子「落ちたら恥ずかしいから内緒にしてね。特に櫻子には」
向日葵「まあ、撫子さんなら大丈夫だと思いますけど……わかりましたわ」
撫子さんの秘密計画に驚かされる。そして同時に、この話を櫻子でも花子ちゃんでもなく私に初めてしていることにも驚く。
こんな大事なこと……私なんかが最初に聞いていいのだろうか。
撫子「もしも受かったら……来年から、花子と一緒にいられる」
向日葵「ああ、花子ちゃんも来年から中学生ですもんね……って、まさかそれで受けようと思ったんですの?」
撫子「それもあるし、って感じ。七森中は先生も生徒も大切にしてくれるいい学校だからさ、行きたいってずっと思ってたんだ」
向日葵「確かに……そうですわね」
撫子「……昨日、痛感したんだよ。私はやっぱり都会じゃなくてこっちにいたいんだって」
向日葵「あ……」
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