櫻子「これからも一緒に」
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7:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 16:59:29.02 ID:+EtVRVLso
私は平謝りする櫻子の手から携帯をすっと抜き取り、寝起きであることを感じさせないように、少々はっきりめの声で語りかける。


向日葵「もしもし、花子ちゃんですか?」

花子『あっ、ひま姉?』

向日葵「ごめんなさいね、私は何度も帰れって言ったんですけど……櫻子が勝手に寝落ちしちゃったんですの」

櫻子「帰れなんて言ってな」ぼふっ

向日葵「ええ……ええ。二度とこういうことがないように、私からもよく言っておきますわ。とりあえずすぐに帰らせますから……はい、お母さんにもよろしくお願いしますわね」

櫻子「むぐ……む!? こらー! 勝手に切るな!」


櫻子に枕を押しつけて黙らせながら、花子ちゃんにささっと話をつけて電話をきった。

携帯を返し、ベッドから降りて背伸びをする。


向日葵「ん……はぁ、そういうわけだから、ひとまず帰りなさいよ。花子ちゃんに直接謝ってきなさい」

櫻子「今謝ったじゃんか」

向日葵「ちょ・く・せ・つ。お母さんも心配してるって言ってたでしょう」

櫻子「お母さん、もうそろそろ仕事に行っちゃったと思うんだけどな……」


櫻子はベッドに腰掛け、くしゃくしゃになった髪を手櫛で整えた。その隣に座り、かきあげられた髪からのぞいた耳に話しかける。


向日葵「あなた、今日の用事は?」

櫻子「べつに、なーんもないよ……ってぇ! それ昨日私が聞こうと思ってたのにー!」

向日葵「何もないんだったら、私も後であなたの家に行っても構いません?」

櫻子「えっ! 遊ぶの!?」ぱあっ


子供のようにぱっと目を輝かせ、笑顔でこちらに振り向く櫻子。私も同じくらいの笑顔で、しかし櫻子が嫌がる言葉をかけてあげる。


向日葵「一緒に宿題しましょっか」

櫻子「……え〜〜〜」ぶー

向日葵「……嫌なら、私はうちで一人でやりますけど」

櫻子「わかったよ! やるよ、協力しようよ……!」


高校二年生になっても、相変わらず学校からは宿題が出る。むしろ中学生の時よりも大変なくらいに。

中学生までは、夏休み最終日になるまで宿題という存在から現実逃避していた櫻子だが、さすがに今では、できるうちにやってしまいたいという思考になってくれたようだ。


向日葵「あとで道具持って行きますから」

櫻子「ん、待ってる。じゃね」


ポケットに手をつっこんで部屋から出ていく櫻子の後ろ姿を見送って、反対側の部屋の窓から外を眺めた。


向日葵(いい天気……)


すっかり暑くなった眩しい日差しが差し込んでいる。元気な蝉の声が、遠くの方からじーわじーわと聞こえる。

突き抜けるような高く青い空が、これから始まる長いようで短い、短いようで長い夏休みの、無限の未来を感じさせた。


今日から、夏休み。


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