6:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 16:59:00.10 ID:+EtVRVLso
楓は小さく手を振りながら、そそくさと私の部屋を出て行った。
ぼさぼさの髪と、よだれのあとが付いた櫻子のだらしない顔を見る。
向日葵「……あなた、何やってるんですの……」
櫻子「……うん」
向日葵「うんじゃないですわよ! なんで家に帰ってませんの!? 一緒に寝てるところ楓にばっちり見られちゃったじゃない!」
櫻子「しょうがないじゃん! 帰ろうと思ったけどそのまま寝ちゃったんだもん!」
向日葵「だからなんで寝ちゃうんですのよ! っていうか何で昨日来たんですのよ!」
櫻子「それはだから……!」
ぴりりりりり……
櫻子「…………」
向日葵「……電話鳴ってますけど」
櫻子「誰だぁ……?」
唐突に鳴りだした携帯の着信音が私たちの喧嘩を遮った。櫻子がポケットからスマートフォンを取り出し、発信者を確認する。
櫻子「げっ!///」
向日葵「?」
さっきまでのだらしない顔から一瞬で険しい表情になると、慌てて画面をスワイプして通話に出た。
櫻子「も、もしもし!?」
『……どこにいるんだし、今』
櫻子「え、えっと……あの、向日葵の家に……」
『……いつから』
櫻子「き、昨日の夜から……」
『ばかー! まだそんなことやってんのかし!!』
櫻子「ひー!///」びくぅ
私たちしかいない静かな部屋では、当然電話口の相手の声もよく聞こえる。部屋が静かなだけじゃない、電話口の相手が声を張り上げて怒っているせいだ。
いつものごとく100%自分に非がある櫻子はただただ謝ることしかできず、電話先の相手には見えないのにぺこぺこと頭を下げて謝った。
櫻子は以前にもこうして夜中に私に会いにくることがあったが、そのまま夜を明かしたことは今までになかった。
『せめて行くなら行くって言ってからにしてほしいし! 朝起きたら急にいなくなってたから、お母さんも心配してたんだよ!?』
櫻子「あ、あ〜ごめ〜ん……」
105Res/202.45 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20