櫻子「これからも一緒に」
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45:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 17:24:51.91 ID:+EtVRVLso
指でつっと目を拭うと、安らかな微笑みを浮かべて、はっと小さく息をついた。

傍に置いていたお茶をのむ。ひとくち飲むだけかと思ったら……そのままごくごくと、ペットボトルの半分以上を飲んでしまった。


「……っふぅ!」ぷはっ

花子「あ……」


「ふふ……櫻子ってね、いっつも謝ってばっかりなの!」

花子「え……?」

「ほんと、よく謝ってたなぁ。予定が合わなくて一緒に遊べないとき、放課後の寄り道を一緒にできないとき、クラス活動で居残りができないとき、私の告白を振った時もそう! “ごめんね” って、ずっと言ってたっけ……」


純粋にびっくりした。あの櫻子が謝ってばかりなんて……そんなの初めて聞いたことだった。


「でもね、それでもみんなからは好かれてた。秘密の多いところがなんかミステリアスで、やるときはやるって感じで、話してみれば楽しくて! みんなに勉強も教えてくれたし、それに……可愛いしさ」

花子「……///」


「今思えば……櫻子は、ずっと申し訳ないって思ってたのかな……私たちに」


「最初から転校したいって気持ちで、私たちのクラスの一員でいたことを……ずっと心の奥底で、悩んでたのかな」


花子は、櫻子の転校前の学校でのことは知らない。もちろんひま姉も知らないだろう。

一年間。ひま姉と離れた一年間の櫻子は、本当に頑張り屋さんだったけど、たまに弱々しくなっていた。

努力がすぐに形に実らなくて、調子の悪いときは、本当にこんなことでひま姉のところに帰れるのかなって不安になって……突然泣き出すこともあった。

そんな櫻子を支えてくれていたのが、お姉さんたちだったんだ。お姉さんたちに元気をもらえたからこそ、櫻子はここまで頑張ってこられた。

櫻子にとっての大切な人が……そこでも新しく生まれてしまっていた。


花子(でも……それなら……)


花子「お姉さん……櫻子はお姉さんたちに、本当はすっごく感謝していると思うし」

「えっ……」

花子「こんな私なんかと一緒に居てくれてありがとうって、思ってたはずだし。もしも櫻子がお姉さんの学校で、人付き合いが悪すぎていじめられてたとしたら……こうして成績を伸ばして転校できてたかもわからない。もともと行きたくないって言ってたくらいだし、学校ごとやめちゃってたかもしれない……」

「…………」

花子「お姉さんたちが櫻子の友達でい続けてくれたから……今の櫻子がある。だから櫻子は、お姉さんたちのこと……大切な存在だって思ってるし。きっと」


このお姉さんは、花子と一緒だ。

ひま姉と離れた一年間の櫻子を支えてくれた、影の立役者だ。


花子「櫻子がお姉さんたちに、その幼馴染みのことを秘密にしたのは……それだけ櫻子にとって、お姉さんたちが大切な存在になっちゃったってことの裏返しかもしれないし」


花子「もしもお姉さんたちのことを何とも思ってなかったら……私には先約があるんだって、きっぱり言えたはずだから。LINEとかだけで振ろうとしなかったのも……話をつけるときは、直接会って話したいって思ってたからじゃないかな……」

「…………」


花子「真実を伝えることで、お姉さんたちを傷つけちゃうのが……怖かったんだと思うし。櫻子は」

「……そういうことかぁ」


お姉さんはほっと溜め息をついた。花子の予想に妙に納得がいったらしい。きっとこの人もこの人なりに、櫻子の人柄というものをよくわかっているのだろう。

櫻子はあまり器用じゃないから、うまいこと振る舞うことができないんだって。



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