44:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 17:24:10.93 ID:+EtVRVLso
小さい時からずっと一緒で……家も隣同士。
小学校も中学校も、毎日毎日一緒に通い続けた。
でもそれまでの櫻子はバカだったから……高校受験を境にして、その幼馴染みとは別れることになった。
初めてそこで、二人が離ればなれになった。
櫻子は自分の成績の悪さを自覚したときから、一緒の高校には行けないという事実を痛感していた。
もしかしたら幼馴染みの方が、櫻子の行く高校に合わせてくれるかもしれなかったけど……
ちゃんと自分の身の丈にあったところに行った方がいいよって、送り出した。
送り出したくせに、櫻子はぜんぜん納得いってなくて……受験期は、家に帰ってきてよく泣いてた。
自分が勉強してこなかったのが悪いのに。ずっとずっとその人に勉強の面倒まで見てもらってたのに……
差し伸べてもらっていた手に素直に向き合えなかったこと、死ぬほど後悔してた。
失って初めて、その大切さに気付いた。
花子「お姉さん……櫻子が転校したのは、その幼馴染みがいる学校なんです」
「!!」
一年間死ぬほど努力して。
暑い日も寒い日も、せっせと勉強して。
その子のことを考えながら、その子に会いたいって思いながら、毎日毎日がんばって。
花子「それくらい好きな人が……櫻子には、いるんです……」
「っ……」
そよ風がさわさわと小枝を縫う。蝉の鳴き声が、花子たちの無言の間を包んだ。
お姉さんはずっと高い空を見つめていた。青く澄み渡る空、夏の入道雲。
「そっか……そうだったんだ」
花子「…………」
「ありがとう……どおりでわかったよ! 櫻子があんなに眩しく、輝いて見えてたわけ……///」
花子「え……?」
「好きな人のために……ずっと頑張ってたんだよね、最初から。私はそんな櫻子を見てきたんだ……」
「学校終わったらすぐに帰るわけも……お休みの日も忙しいからってあんまり遊べないわけも……」
「私の告白が叶わなかったわけも……全部、その子のためだったんだよね。きっと……///」
空を見上げていたお姉さんの目の端から、涙がひとしずくこぼれおちた。
花子「あ……っ」
「知らなかった……そんな大きなことさえ、知らなかったんだなぁ……私……///」
花子「な、泣かないで……!」
「うん……うん。でも……なんとなくわかってた。わかってたよ……」
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