43:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 17:23:18.67 ID:+EtVRVLso
花子「お姉さんのこと……櫻子もきっと大切に思ってます。櫻子は友達のことを大切にする人だから……」
「そうなんだ……でも、じゃあなんで……なんで櫻子はいなくなっちゃったのかなぁ……」
私は櫻子と違ってばかだからよくわからなくてさ、と自虐的に笑う。
花子「…………」
ひとつだけ……たったひとつだけ櫻子のことを知らないだけで、この人は櫻子に縛られているんだ。
櫻子には、ひま姉がいるという……そのことだけ。
花子(……教えて、あげなきゃ)ごくっ
昨日の調子では、櫻子はこのお姉さんに会うことすら避けたいような感じだった。
楽しみにしていたひま姉との花火大会を取りやめるくらい、この人にひま姉のことを知られたくないんだ。
櫻子のことを「好き」って言ってくれてるから。
この人に……残酷な真実を打ち明けるのが、怖いんだ。
花子「……お姉さん」
「ん、なあに?」
花子「櫻子は……どうして転校するのか、言ってなかったんですか?」
「うん……そもそも転校するってちゃんと教えてくれたのも、ほんとギリギリになってからだったんだよ。生徒の間でなんとなく『櫻子が転校するかもしれない』って噂だけが独り歩きして、そうしてる間に……学年が変わったら、もう櫻子はいなくなっちゃった」
――思い出した。
去年の春休み、櫻子が撫子お姉ちゃんと泣きながら電話していたこと。
まだ入学すらしていないのに……「転校したい」と言っていたときのことを。
花子「……お、お姉さん……実は……」
「ん?」
花子「櫻子は……そっちの学校に入学した最初の時から……ずっと転校したがってたんです……」ぐっ
「え……っ?」
握りしめた拳に力をこめて、なんとか喉の奥から声を出した。
お姉さんの顔が怖くて見られない。でもこれは、きちんと知っておくべきだ。
櫻子はどうせ言わないのだから。花子が言ってあげるしかない。
花子「櫻子には……大好きな、幼馴染みの女の子がいるんです」
「……!」
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