34:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 17:17:13.78 ID:+EtVRVLso
誰もいないテーブルを眺める。去年はここに、せっせと勉強する櫻子の姿があった。
ここで一緒に宿題をした。一緒にごはんを食べた。櫻子はもくもくと頑張っていたけど、話しかければいつだって答えてくれた。
花子の友達の話も聞いてくれた。櫻子の学校の話もしてくれた。ひま姉との昔話に花を咲かせた。撫子お姉ちゃんに一緒に電話をかけたりもした。
毎日、毎日、ここにいてくれたっけ。
花子(……あの頃は、まだ仲良かったんでしょ……?)
櫻子が去年家につれてきた女の子。
ひま姉のためとはいえ、少々張りつめすぎてはいないかと心配になっていた花子の櫻子に対する不安を、あの人の笑顔は解消してくれた。
こんなに必死に頑張ってるけど、櫻子は今の学校でも楽しくやってるんだなって初めて実感できて、花子はすごく安心した。
そしてあの人は……きっとあの夏の日からずっと、櫻子のことが好きだったんだ。
花子(櫻子って……やっぱりモテるんだ……)
櫻子が友達の多い子だっていうのはわかっていたけど、こうも人に恋い焦がれられるタイプなのかといわれると、花子はどこか納得できない。
姉妹だからか、いつも一緒に暮らしているからか、花子には櫻子の悪い部分がよく見えてしまう。なんでこんなだらしない人のことを好きになるのかわからない。正直ひま姉のことも意外に思う。櫻子のどこが好きなんだろう。
花子(モテるくせに……いい気になってるから、昨日みたいなことになるんだし……)
自分を好きだと言ってくれる人がいるのに、会いたいとまで言ってくれてるのに、その人のことを見てあげないなんて。
昨日は本当に腹が立った。友達思いが櫻子の数少ない取り柄だと思ってたのに。
花子(どうなるんだろう……これから)
あの調子だと櫻子は、花火大会の日も会ってあげないのだろう。あの人から目を背けることで、相対的にひま姉に注力できているのだと思い込んでいる。
可哀想に。遠く離れた櫻子のために予定を作ってまで会おうとしてくれてるのに。ひとたび離れてしまえばないがしろにされてしまう存在でしかなかったんだ、あの人は。
ひま姉と離れている間、元気をなくした櫻子を支えてくれていたはずなのに。
櫻子はひどい。
やっぱり櫻子はばかだ。
勉強はできるようになったかもしれないけど……中身がてんでだめ。
そんなことじゃ、きっといつかひま姉にも見放されちゃうときがくるに違いないし。
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