33:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 17:16:44.66 ID:+EtVRVLso
〜
ちゅんちゅん……
花子「…………」もぞ
花子(あ……)
目が覚めると、静かな朝が来ていた。
時計を見ると、もう朝9時をすぎていた。いつもよりだいぶ長く眠ってしまった。昨晩泣き疲れたせいで、目が腫れぼったく重たい。
花子「…………」すとっ
やけに家が静かだ。そう思いながら部屋を出て階下のリビングの扉を開く。
ただただ空虚で静かな一室が、そこにはあった。
花子(誰もいない……?)
人がいた気配を感じさせないリビングのテーブルの上に、小さなメモ用紙が置かれているのを発見する。
櫻子の字だった。
[
行ってくるね。
ねーちゃんと一緒に帰ってくるから。
何かあったら電話してね。
櫻子
]
花子(……そっか……)
オープンキャンパスのことはよく知らないけど、撫子おねえちゃんの大学は遠くにあるから、行くとしたら早朝出発になるんだということに今更気づいた。
花子が寝てる間に出かけてくれたことにせいせいする。昨日櫻子にあれだけ怒鳴り散らしてしまった手前、ひま姉と一緒にいる姿を見ることさえ今は嫌だった。
顔を洗って髪をととのえ、冷蔵庫の中で冷えていた牛乳を飲む。なぜか花子は胸が緊張していてお腹が減ってなくて、ごはんを食べる気にはなれなかった。
リビングの大窓の、レースのカーテンをしゃっと開けて外を眺める。
今日も相変わらず、夏の快晴が静かに広がっていた。
花子(今日は……ひとり)
ソファに座って、特に眠くはなかったけどそのまま横たわる。
聴こえるのは外の小鳥の鳴き声と、遠くで鳴いている蝉の声だけ。
それらから意識を外せば、きーんとなりそうなくらい部屋は静かだった。
思えば……こうしてまる一日一人きりになるのは、もしかしたら初めてかもしれない。
この家にはいつも誰かがいた。去年の櫻子はほとんど家から出ることは無かったし、その前の中学生の時は、まだひま姉がうちに来てくれたりしていた。
楓もよく遊びに来たし、それより前にはまだ高校生だった撫子おねえちゃんが家にいてくれた。
花子(ひとり……ぼっち……)
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