28:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 17:13:29.63 ID:+EtVRVLso
撫子おねえちゃんとの通話が終わった櫻子の携帯を、机の上に置こうとした。
てこてこっ♪
花子(ん……?)
ちょうどそのとき、LINE通知が来た。
べつに花子には、他人の携帯を覗き見するような趣味はない。それがたとえ櫻子の携帯であったとしたって、やっていいことと悪いことの分別はついている。
けれど偶然目に入ってしまった。一瞬何事かわからなかった。
[ごめん]
たったそれだけの文字を送ってきた、差出人。
その名前を……花子はどこかで耳にしたことがあった。
花子(こ、この人……)
前にうちに来た……櫻子の、前の学校の友達だ。
数日前の出来事を思い出す。ひま姉の前で花子がこの人の話をしたとき、櫻子はやけに慌てていた。
ひま姉に焼きもちを焼かせちゃうから焦っているんだと思ってた。たかが友達にひま姉が嫉妬なんてするわけなのに。
けれどこの「ごめん」という一文を見て、花子の考えはどこか間違っていたのかもしれないと思った。
ロック画面に現れた通知は数秒で消えてしまう。真っ暗になった液晶に、無表情な自分の顔が映る。
このたった3文字しかない不穏な文に込められた思いは、いったいどういうことなんだろう。櫻子はこの人と喧嘩でもしているのだろうか。
考えを巡らせていると……また気の抜けた通知音と共に、次のメッセージが届いてしまった。
[やっぱり、会いたいよ]
花子「……!?」どきっ
ど……どういうこと?
花子(櫻子に……会いたがってる……?)
去年櫻子の家にきたとき……櫻子とこの人は普通に仲のいい友達のような間柄に見えた。
それから約半年して、櫻子はひま姉のいる学校へ転校してしまった。
この人にしてみれば、仲のいい友達がたった一年でいなくなってしまったんだから、ひどく寂しいことだろう。
それでもこうやって連絡を寄越して、学校が離れても変わらずに会おうとしてくれているなんて、とても良い友人関係のはずだ。
なのに……この「ごめん」という言葉は……「やっぱり会いたいよ」とは、一体何を表しているのだろうか。
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