8:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 01:27:26.75 ID:+EtVRVLso
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学校に到着するまでの間、櫻子とはほとんど何も話さなかった。
別にだんまりを決め込んでいたわけではない。私も櫻子もさりげない会話の糸口を探し続けていた。探しているうちに学校に着いてしまったのだ。
どう考えても話すべきは昨日のLINEのことなのだが……それに触れると櫻子はかんしゃくを起こしたように真っ赤になって怒る。書いてあったルールを守れということなのだろう。櫻子もずっと「そのことだけは話すな」という顔をしていた気がする。
だが私は当然そのことしか頭にない。櫻子がこんな状態になってしまうほどのものなのだ。何かとんでもないことを起こそうとしていることだけは確かだった。
しかもどうやら、昨日の内容は撫子さんも把握していたようだ。私に送るメッセージをなんで撫子さんが……最後に言った「頑張んなよ」とはどんな意味なのか……
低血圧を振り切って、私は脳内コンピュータを懸命に働かせた。櫻子の「話さなきゃいけないこと」とは何なのか。間近でその横顔を見ながら考えた。
櫻子「……な、なんなのさっきから……あんまこっち見ないでくれる?///」かあっ
向日葵(あ)
……弾き出された答えは一件。
もうこれしかない。これ以外に何もない。
正直、口に出すのもはばかられる答えだ。もし間違っていたら死ぬほど恥ずかしい。だけど絶対に間違っていないという確信が、?を赤らめる櫻子を見ているほどに固まっていく。
これを「話さなきゃいけないこと」に仮定した場合、すべてのパズルが綺麗に当てはまってしまうのだ。どうしてさっきから恥ずかしそうにしているのか。
どうしてルールに抵触すると怒るのか。どうして最近、私への態度が少しずつ優しくなっていたのか。
そういうこと?
そういうこと、ですの?
声には出さずに、櫻子の横顔に語りかける。
もちろん櫻子は何も言ってこない。言ってこないけど……私には伝わってくる。
向日葵(櫻子……)
ついに、というか。とうとう、というか。
お互いがずっと守っていた均衡が……崩されてしまうときが来たみたい。
青い空を見上げて小さく息をつく。私の胸は高鳴っていた。
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