5:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 01:25:33.87 ID:+EtVRVLso
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強い考えごとをしながら眠ると、身体は眠っていても脳は起きたままになってしまう。
いつもならあまり効果を発揮してくれない、第一陣の目覚まし時計で今朝は目覚めた。むくりと起き上がった瞬間に感じる倦怠感が、昨晩に抱えていた重苦しい不安を思い起こさせる。いつになくスムーズに起きたが、まったく眠れた気がしなかった。
カレンダーの日付は7月20日。木曜日。
空は気持ちのいい快晴だった。きっと今日はとても暑くなるだろう。そういえば今日は朝から外での体育があった気がする。憂鬱だ。どうも今朝は朝ごはんを食べる気が起きない。水以外何も喉を通らない。低血圧の私が朝ごはんを食べないと、本当にお昼近くまでエンジンがかからない。憂鬱だ。澄み渡る空とは対照的に、私の心はどんより曇っていた。
櫻子はどんな顔をして出てくるだろう。私はどんな顔で接すればいいのだろう。明日の夕方に何を言われるかはわからないけれど、それまで櫻子と微妙な距離感が続いてしまうことがもうすでに嫌だった。なんで明日にしたんだろう。そんなに持たせなくたっていいのに。
のろのろと靴を履いて外に出る。朝日で熱された空気が私の身体をむわっと包み込んだ。まだ早い時間なのにすっかり外は暑かった。晴れ渡る眩しささえも、私の重いまぶたには堪える。
手で目の上にひさしを作って門をくぐる。すぐ横に見慣れた制服姿が見えた。どんな言葉をかけようか迷ったが、ここはやっぱり、いつもどおりにするしかない。
ごめんなさい、待たせちゃいました?……そう言おうとすると、向こうから先に、せきを切ったように話しかけてきた。
櫻子「おっ、おはよう!!///」
向日葵「…………」
……家の中にいる楓にまで聞こえそうなほど、大きな声で。
かばんを持つ手を、ぷるぷると力ませて。
背伸びをするように、足のつま先をぴーんと立たせて。
櫻子は、真っ赤な顔で、挨拶をしてきた。
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