88:名無しNIPPER[saga]
2017/09/01(金) 00:26:14.61 ID:gRyzT9wx0
「……え?」
みくは驚きで声を上げ、美穂は言葉の意味がわかっていない様子だ。
「み、都チャン?」
「みくさん、以前、寮の裏にネコが捨てられていたことがありましたね。その時、みくさんがそのネコの段ボールに、ご自身のタオルを入れました」
「え? そ、そうだけど、もうだいぶ前だよ? そのネコチャン、もう大人だし」
「話は変わりますが、先ほどおふたりと話していて、私はある感覚を覚えました。……同じ匂いがしたんです。美穂さん、最近、洗剤を変えましたね?」
「う、うん! この前、みくちゃんに勧められたやつに変えたけど」
「みくがずっと使ってるやつだよ」
「捨てネコにタオルをあげた時から、同じものを使っていた……ですよね?」
「うん……えっ? まさか……」
「みくさんの部屋は寮の2階にあります。また、この建物の周囲には木などがあまりなく、1階以外のベランダから誰かが入るのは至難の業です……。それがたとえ、ネコであっても」
「ど、どういうこと?」
「あのネコにとって、この洗剤の匂いはまさにお母さんのようなものです。そして、美穂さんの部屋は1階」
「そ、そっか……! わたしのタオルから、みくちゃんのタオルと同じ匂いがしたから……!」
「おや、ちょうど……」
「み、美穂チャン! 見て! 窓の外!」
「あ! ネコちゃん! わ、わたしのタオル咥えてる!」
「都チャン! すごい! すごいにゃ!」
「ん、んん……?」
「ありがとう都ちゃん!」
「え? ……あ、お、お安い御用ですよっ」
まどろみの中で目を覚ました都であったが、2回目であるために理解は早かった。
どうやら、またしても自分の意識が失われている間に、事件は解決を迎えたらしい。
(この薬……本物なんですね……!)
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