34: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2017/08/29(火) 15:49:37.64 ID:a/BNsWng0
――翌日
「杏ちゃん、夕美さん連れてきたにぃ」
「杏ちゃんおはよっ。影のこと、朝気付いてびっくりしちゃったよ」
「おはよー。じゃ、ちゃちゃっと戻そうか」
3人の影が重なるように立つ。これで私の影をきらりに、きらりの影を夕美さんに、夕美さんの影を私にと、ぐるっと一周させれば――
「……違う」
「違うにぃ☆」
「うん……違うね」
きらりと夕美さんはそれでいい。ぴったりジャストサイズの影をつけている。だけど私のこれは、明らかに違う。
「けっこう背高いよね、誰のかな?」
夕美さんが言う。私に移ってきた影は、並べると夕美さんの影よりも身長がある。もちろんきらりほどじゃないけど、それでもなかなかの長身だ。
「なんとなく見覚えはあるから、知ってる子なのは間違いないにぃ」
きらりが言うように、シルエットはたぶん知っている。誰とまではわからないけど。
しぐさになにか特徴はないかな? と様子をうかがってみるも、この影はあまり動かない。おとなしいというよりは、悠然と構えているといった感じだ。
「うーん、これの持ち主はまだ気付いてないのかな? ちょっとみんなに聞いてみるよ」
スマホでメールアプリを立ち上げ、『自分の影を確認して、異常があったら双葉杏まで』と、メールアドレスを登録しているアイドルたちに一斉送信した。
346プロ所属の全員を登録しているわけじゃないけど、ウチのアイドルたちはだいたい仲がいいから、誰からスタートしても友達の友達あたりで全員に行きつく。私がメールを送ってない人にも、身近な誰かから話は行くだろう。
1分も待たずして早速返信があった。凛ちゃんからか、内容は……
『私の影がない!』
「マジか」
「杏ちゃん? どうだったぁ?」
「……思ったより複雑になってるのかもしれない。とりあえずふたりはもうだいじょうぶだから、杏は適当に探しに行くよ」
「なにか手伝えることがあったら言ってねっ」
「うん、たぶん平気だと思うけど、そのときはよろしくー」
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