274: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2017/09/30(土) 10:28:31.35 ID:ktVirj9S0
加蓮はレッスンでの反省を踏まえ、離脱は3日以上の間隔を置くこと、時間は最大でも30分までとルールを定めた。いくら楽しいからといって、アイドルの活動に悪影響は与えたくない。
それと、離脱中はきっと、なにをされても起きることはない。たとえばお風呂の外から家族に呼びかけられた際に、全くの無反応では心配するだろう。戻ってきてみたら本体が病院に担ぎ込まれていたなんて事態にもなりかねない。
だから、離脱をするのは家の中でひとりきりのときだけと決めた。加蓮の母は専業主婦であるため、チャンスはそう多くない。自然と『3日以上の間隔』というルールにも合致した。
何度か試してわかったのは、最大の飛行速度はだいたい全力で走るのと同じくらい、ただし長時間飛んでいても疲れるということはないので、結果的に走るよりもずっと速い。
それから、交通機関は使えない。いちど駅で電車に入ってみたら、動き出した車両が体を貫通して走り抜けていった。あのときの光景はなかなかのホラーだった。
つまり、移動の手段は自身の飛行のみ。ルールで決めた時間制限もあるから、それほど遠くまで行くことはできない。
奈緒の家は距離がありすぎて無理だ。だけど、凛の家ならそんなに遠くないので、ちょくちょく覗きに行ったりもした。
ふだんは格好つけてるけど、自室でひとりのときはけっこうだらけてるとか、なかなか気合いの入った下着を隠し持ってるとか、よく知っていたつもりでも、意外な顔が見えたりして面白かった。幽体離脱様様だ。
もちろん、それでからかったりはしないけどね。
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