106:名無しNIPPER[saga]
2017/09/01(金) 00:42:30.16 ID:gRyzT9wx0
「……頼子さん」
「はい?」
「ありがとうございました」
「都ちゃん?」
「私は、ずっと眠っていました。この薬を初めて手にした時から」
都が薬を取り出す。
「目を覚ましてくれたのは、頼子さんです。本当にありがとうございました」
「……力になれたのなら、嬉しい限りです」
「でも」
「?」
「1つだけ、謎が残っています」
「そ、そうなのですか……?」
「昨日、聞き間違いでなければ頼子さんは『私が大好きだった都ちゃんは』と言っていましたよね?」
「えっ!? あ、ええと……」
まさか掘り返されるとは思ってもみなかったのだろう。明らかに頼子がうろたえている。
「それを聞いてから、いえ、それよりも前からだったかもしれません。頼子さんの顔を見ると……ドキドキして……」
「え?」
「……そこで、この謎を解くことを、睡眠探偵ミヤコの最後の仕事にします」
そう言って、都が最後の薬を口に含む。
「……まあ、自分でもわかっているんですけどね」
小さな呟きが頼子の耳に届いた時にはもう。
カクン
目の前には、何度も見た姿勢の都が。
「謎が解けましたよ」
「頼子さん。私は――」
――少し震える都の手には、まだ最後の薬が握られていた。
おわり
344Res/309.22 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20