3:名無しNIPPER[sage saga]
2017/08/27(日) 19:41:56.85 ID:PvjaGSFXO
「奏……」
ごくり、と喉の鳴る音。
ほんの少し前まで私の唇が触れていたそこ。重なって、塞いでいたそこから熱く濡れた吐息が漏れてくる。
その音を耳に聞いて、その吐息を顔のすべてで受け止めて……プロデューサーさんの想いを、私へ抱いてくれている興奮や劣情を感じて、胸の高鳴りが増していく。
プロデューサーさんが……自分が好きだと思う人。恋しい、愛おしいと想う相手が、自分のことを想ってくれている。自分と同じようにかけがえのない相手として、誰よりも望む異性として想ってくれている。それを実感して、身体が疼く。
甘い痺れが全身に広がって、お腹の奥をずんと強く震わされて、理性を手放してしまいそうになるくらいの幸せに包まれる。
「……ふふ。どうしたの、プロデューサーさん」
「い、や……」
「隠さなくてもいいじゃない。私と貴方の仲。ついさっきまで結ばれていた、そんな仲じゃない」
「それは、そうだけども」
からかうような態度を繕いながら言葉を交わす。
きっと、それはできていない。繕っているつもりで、でも繕えてなんてない。からかっているときみたいな余裕もない、今にも理性を失って決壊してしまいそうな、そんな何も繕えていない姿にしかなれていないのだろうけど。
でもそうやって言う。そうしないと、そうしているつもりでないと、それこそ堪えていられない。自分の理性を、この手の内に捕まえていられないから。
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