30:名無しNIPPER[saga]
2017/09/01(金) 01:09:58.65 ID:YoTKRd/f0
理樹(彼女の音だった。繊細でいて、時に聴くものを引っ張りあげるほど情熱な旋律。だが、僕の気を引いたのはそれだけじゃなかった。引いている曲だった。その曲は僕自身、一度も聴いたことがなかった。しかし、ずっと昔に聴いた感覚だけはある。既知感だとかそういう類のものではない。僕はこれを確かに一度聴いたことがある)
『♪…………』
理樹「……………」
理樹(画面では確かに来ヶ谷さんが弾いていた。どうやら何かの番組の企画で弾いているようだった。その演奏が終わると、テレビでたまに見る顔の司会者が来ヶ谷さんにマイクを向けた)
『いや〜美しい曲でしたねぇ!これを弾くのはテレビ初だとか?』
来ヶ谷『ええ。夢の中では一度だけ友人にむかって弾きましたがね』
理樹「!」
『あはは!そりゃなかなかロマンチックなエピソードですね。さあ、それでは続きまして……』
理樹(これからも来ヶ谷さんのシーンは回ってくるだろう。だけど、それを聴いている暇はなかった。全てを思い出したからだ。僕と彼女が恋した”本当”に最初のきっかけを)
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