【デレマス時代劇】一ノ瀬志希「しあわせの白い粉」
↓ 1- 覧 板 20
25:名無しNIPPER[sage]
2017/08/19(土) 08:23:44.38 ID:GVuX5Nn80
勤めが終わり帰路につくと、早苗は再び、
路上でうずくまっている女に遭遇した。
その女はひどく酔っ払っていて、蛸のようにぐでんぐでんと、
地面をのたうちまわっていた。
正直関わりたくない相手であったが、その人物が腰に刀を提げていたのと、
ついでに馴染みであったので、早苗は声をかけた。
「楓」
「えへへ…足が、震えて、かえっでない…ふふっ…」
肩を貸して起こしたが、楓の方は、早苗に気づいていないようであった。
「身体が浮いてる…職場でも浮く…ふふっ…」
普段であれば、くだらないことを、と一笑するのだが、
今日の早苗は黙って相手を運んだ。
籠に運ばせるのは何となく、そうしたくなかった。
馬廻という職は花形であり、楓自身もそれ相応の腕前を持ち合わせているのだが、
彼女の身体は、心許ないほど軽い。
早苗が以前、瑞樹と2人がかりで運んだ時よりも、体重がさらに減っていた。
瑞樹や自分では、楓の居場所にはなれないのか。
そんな寂しい心持ちで、早苗は高垣家の屋敷に向かった。
56Res/35.48 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20