5:名無しNIPPER[saga]
2017/08/14(月) 00:00:16.34 ID:7ZBN3l0J0
よく晴れた午後でした。
時間まで、誰も懺悔室を訪れる気配はありませんでした。当たり前と言えば、当たり前のことでしょう。
内部の方は、私が懺悔室にいると言いふらすことはないでしょうし。
仮に信徒の方に知られていたとしても、懺悔室ならばと、暗黙の事情は分かっておいででしょうから。
だから私は、とても静かな時間を過ごしていました。ともすれば、うたた寝してしまいそうになる自分を内心叱りつけながら。
衝立の木目をなぞりはじめて、どれくらい経ったでしょう――白状すると、今日の晩ご飯は何かしらと考えてしまっていた頃――パタンと、ドアの音が不意に届きました。
私は目を閉じたまま身を引き締めて、格子の向こうに集中します。
腰を下ろす気配が届きました。
どなたが告白しているのか――本来、推測するようなことがあってはいけません。
でも、どうしても、入ってきた瞬間に『分かってしまう』ということはあります。
たとえば普段からお祈りにいらっしゃる方。などは、ものの所作が伝わってしまうかもしれません。
入ってきた瞬間に、その方の何かが分かりました。
18Res/10.97 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20