女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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22:名無しNIPPER[sage]
2017/08/13(日) 22:47:25.98 ID:/6Xwlc9Z0
 それから世間話が続いた。あれはほんとはこうするべきだ、こっちにすればもっとよくなるのに。博識だねとかいい考えだ、とか、時々僕を褒めるようなことを照は言った。だが一度違和感を感じると……それがますます確信的になっていく。

「照さん。もうやめませんか」

 照は人のいい笑顔のままだ。スキンヘッドにもかかわらず、威圧感というものが全くない。細められた目のパーツ、頬のあたりのえくぼ。それがこんな印象を生むのだろうか。

「やっぱり頭がいいみたいだね。名前を聞かせてもらっても?」

 隙あらばこんなことを言う。家族に迷惑がかかるかもしれないのだ、いうわけがない。だが一瞬答えそうにはなってしまう。会話術、というものだろうか。
 照が明るく笑い始める。

「いやーまいったまいった。どこらへんで気づいた?警戒心が強いのか、気づくという能力に長けているのか。わからないけど君みたいな人は良い」
「まだそんなことを――」
「いやいや、待ってくれ。今回のは本心だよ。そう怒らないでくれ」

 ウインクをしてみせる。その程度で一度根付いた猜疑心は消えやしない。

「君は有望だよ。是非ともうちに欲しい。でもだからこそ、一度チャンスを上げよう」
「……はあ」
「君は一度帰っていい。戻ってくるかは君しだいだ。今日のことをまるまるなかったことにしてもいい」

 到底意味が呑み込めなかった。



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