女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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名無しNIPPER
[saga]
2017/09/12(火) 18:41:51.82 ID:bdvuTYni0
「なあ、任されてくれるかい?」
「……」
「君が人を導いてくれ。私にはその資格がない。もうことは起こってしまった。人が死んでしまった。だから……現実に迎合した理想の世界を、作ってくれ」
「……」
「君は断らない。君ならば、やれるだろう」
男には相手の感情が見えていた。自分を悪だとわかってるその感情と、それでもやらなければやらなかった、矛盾を。
――世界は絶対に救われるべきだ。そう唱えた奴が、世界の人間を殺しつくした。
やりたくなかった。そしてなにより、誰かの悲鳴を聞きたくなかった。他人の苦痛の声は自分にとっても苦痛だった。
男は白衣の男の手を握る。それに白衣の男は救われたような顔をした。
男はそれを見据える。目の前の者は償い切れない罪を犯した。だが、それでも――。
脳裏に浮かぶのは理想を語ってた白衣の男の姿だ。彼は本気でその理想が正しいと信じ、また、叶わないことを知っていた。
「あなたは許されるぺきじゃない。でも、周りが何と言おうと、僕はあなたの気持ちを知っている。苦悩を、悲しみを知っている。僕はあなたを助けません。でも、こぼれ落ちたその罪を、僕が背負います」
焼き尽くし、根絶やしを広める緑の炎。分散され、空気に散っていく、人を殺す魔素。
「ありがとう」
許しを乞い、求める声。
「ありがとう……」
命の鼓動が止まっていく。
男はたったひとりで辺りを見渡す。
できる限り理想に近い、そんな世界を作らなければならない。
死んでいく者たちを見ながら、そう思った。
それが、これからの生涯の使命だった。
◇
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