女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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名無しNIPPER
[saga]
2017/09/09(土) 23:07:32.49 ID:43vqk7Yd0
「え……?」
卓也は呆然としていた。何が起きているのかわからない、といった感じで。
一番の顔から血の気が引く。人は本当に怒ると顔は紅潮よりも白くなる。本格的に暴力を働く時は、血管を収縮させ、致命的な傷をうけても出血が減るようにと体が準備をするからだ。
つまり、一番は本気で怒っている。そして、彼はナイフを持っている。
しかし、彼はすぐには動かなかった。それは理性による制御か、ただ怒りで動けなかったのかはわからない。だがともかく、彼は動かなかった。
「待ってください!」
叫ぶ。
卓也が死んでしまうかもしれない。すれ違いで、何の意味もなくそうなるなど、絶対に嫌だ。
ぴくりと一番が動く。
だが動き出す前に僕がその腕を掴んだ。僕の身体能力はそこまで高くない。地表の探索のために鍛えた体ではあるが、それをいうならずっと前からそれに取り組んでいた一番のほうがはるかに強い。
僕は急いで言う。
「彼は敵ではありません」
「……なぜ?」
「僕の知り合いです」
「……そうか」
瞬間、一番の体から力が抜けた。それは理解したから力を抜いた……というだけではない。彼の表情から窺えるのは安心感と……恐怖だ。
「俺は……本気で……」
殺そうとしたんだ。
彼が実際に言ったわけではなかった。だが安易に想像はついた。
困惑した顔で卓也は僕を見る。
「祐樹さん……いったいどうなってるんだ?」
「あとで話すよ、今は……」
膝をつく一番を見る。震えていた。それが何よりも彼の言葉が真実だったと証明している。
だがなぜだ、と思う。
切羽詰まった状況ではあった。皆、恐怖を内に抱えていた。だがこうも判断能力が低下するものなのか? ありえないことではない。だが彼は自分を止めたのだ。中途半端なのだ。恐怖による思考の暴走ならば最後に歯止めがかかるのだろうか。
……ありえない可能性ではないかもしれない。
雰囲気に呑まれているのだろうか? 地表は異常だ。常に違和感が付きまとう。それで僕の思考ですらも、まともではないかもしれない。
やがて皆が集まってきた。
おおよその説明を僕はした。卓也は僕の知り合いで、信用できる人物だということ。おそらく、一番は不安と恐怖感から、突然現れた卓也に殺意を向けたこと。それは衝動的なもので、彼が望んでいたわけではないだろうということ。
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