女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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126:名無しNIPPER
2017/09/09(土) 23:06:52.02 ID:43vqk7Yd0

 思えばここは、変だ。常に違和感が付きまとう。ここにある。ここにない。境界線があいまいになることが、しばしばある。存在しているのに存在していないという矛盾の塊。しかし、稀に強い存在感のようなものを感じるのだ。そこに実体はない。だが、おかしい。奇妙だ。一連の結果をすぺて偶然で片づけるのは無理があるような気がする。

「広がれ」

 トランシーバーからの隊長の一声で散開を始める。ワイヤーは追えている。今のところは順調だ。

「……なんだ?」

 人影が見える。人為的、人為的でないかの話をしていた僕らは、自然と警戒心が上がった。

 《……い。お……………い》

 トランシーバーは同じ機種のものなら音を拾う。遠目から見ても、防護服が僕らと同じことから、レジスタンスの誰かだろうと予想できる。

 《な……る? み……な、どうして……止まって……だ?》

 声が聞こえる。それはどこか、聞き覚えのある声だ。

 《おーい! おーい!》

 完全に声が拾えるようになる。まさか、と思う。

 たく……や?

 思えば、三番が出発の直前になにかを見たと言っていた。幽霊でも見たのか?と二番はそれを笑い飛ばした。だが本当は、それは……。
 一番がつかつかと、隊長の静止も聞かずに歩いていく。手に持つのはサバイバルナイフだ。慌てて僕は走り始める。一番からは僕が最も近い。だが、この距離では間に合わないのは明らかだった。
 卓也と思われる人影は、何も知らない。今、僕らが彷徨っていることを。そして、まともな精神状態ではないことを。
 一番が前に立つ。そして、こう言った。

「お前がやったのか?」

 どすの聞いた声で、そう言った。

 ◇



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