女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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119:名無しNIPPER[saga]
2017/09/08(金) 20:24:42.71 ID:c9qxGCK40

「待ってください隊長」
「どうした一番」
「危険生物が存在する可能性がでたんですから、決め事を作っておくべきです。襲われたらどうするか、とか」

 そうだ、と僕は思う。想定されていない可能性ではなかった。しかし、主な予想は地表では生物が死滅しているという前提で動いていたのだ。実際、プランもそれにそったものが多い。だからここで簡易的に決まり事を作る必要があるだろう。

「そうだな、我々が来たのはやはり仕事のためだ。予算もかけた、人も死んだ。てぶらで帰ることだけは許されん。……脅威に対しては逃走を選択する。誰かが死にかけても撤退が優先だ」
 厳しい言葉だった。だが、妥当だ。結果は絶対に必要だ。なにしろ、この調査のために人が死んでる。
「我々がそこまで親密でないのもそういった理由ですしね。異論があるものはいるか?」

 二番の言葉にみな首を振る。反対する理由はなかった。
 再び僕らは進行を始める。

「なあ」と二番が僕が話しかけてきた。

「どうしました?」
「ここにどんな生物がいると思う?」
「さあ……毒を持った生物とか、いるかもしれません。あとあながち巨大生物がいる可能性も捨てきれないかも。生き延びるために大型化するなんて話をよく聞きますし、さっきのトカゲのことを考えると異常な進化があってもおかしくないかもしれません」
「たしかに。『星堕ち』が起きて人間はほぼ全滅した。そう考えると他の種が多数全滅していると予想するのが妥当だ。いま生きているものは大なり小なり魔素を克服したやつらだと思うしな。……けど」

 言おうか言うまいか、迷っている表情。

「話してみてください」と助け船を出す。
「なんかあれなんだがな」
「はい」
「人間はどうなってるんだろうな?」
「……はい?」
「『人間となってから種としての環境適応は遅くなった、だから他の生物が生き残れても星堕ちで人間は死滅するだろう』というのが今も昔も変わらない、科学者の見解だった。けど……本当に、地上に人間はいないのか?」
「というと?」
「ほぼ役に立たない力だとしても、俺たちは魔法という力を獲得している。これは進化の一つとして考えられないか? いや、機械で増幅しているとはいえ、この力が都市を守っていることを考えると間違いなく進化だ。なら単体で生き延びた人間がいないとほんとうにいえるのか? そもそも俺たちが人類最後の生き残りだと信じ込みすぎだ。星堕ち当時の情報がほとんどないし、都市の外を俺たちはあまりにも知らない。俺たちはあまりに多くの情報を抜き落としてしまっている」
 それは多くの都市の人たちに当てはまることだ。僕も無意識の影響か何か、人類は都市でしか生き残れていない、という情報を確定した情報、、、、、、として扱っていた。
「そもそも俺たちの都市に矛盾を多く感じるんだ。長い年月をかけたのはわかるけど……統制が完璧すぎる」



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